業界 〜 取り巻く環境はどうなっているか? 〜

企業を取り巻く環境は、猛烈なスピードで変化しています。国内・世界情勢、法律の施行や改定、規制緩和、海外や異業種からの参入など経済環境の変化は、企業を取り巻く環境にも大きな影響を与えています。業界が現在どのような状況にあるのか、何の影響を受けて、今後どのように変わっていくのかということは、企業を研究する上で必須です。
では、規制緩和を例に挙げてみましょう。

規制緩和の影響は?

ここ数年、金融、空輸、運輸、エネルギー、製鉄、人材派遣、農業など様々な業界で規制緩和が実施されており、日本の業界勢力図は大きく変化しています。
規制緩和とは、経済活動を活性化させるために、それまで決められていた規制を緩くする、もしくは無くすことです。
規制緩和がもたらす影響には、下記の点が挙げられます。

・ 料金体系の弾力化
・ サービスの多様化
・ サービス内容の改善
・ 地域、産業の活性化
・ 経済成長を促進  等々

郵政民営化、農業の民営化も規制緩和のひとつです。

農業の民営化とは?

2000年に農地法が改正されてから、株式会社などの民間企業の農業への参入が許可され、人材派遣業、建設業、飲食業など異業種企業が相次いで農業に参入し、アグリビジネスとして注目を浴びています。人材派遣のパソナは、新たな雇用の創出を見越して東京の都心に農園を創り、農作物を栽培し農業に参入しました。また、建設業からも100社を超える企業が将来有望なビジネスとして、アグリビジネス(農業)へ次々と参入しています。資本力のある民間企業が衰退気味であった農業へ参入することによって、市場が活性化され、成長産業へと変化していくと、大変期待されています。このように規制緩和は、新たなビジネスチャンスを生み出すためのひとつの起爆剤になります。法律や施策が変わるだけで、業界勢力図は大きく変わりますので、業界の今後の可能性を見るうえで、その影響力の分析は欠かせません。

業界再編の可能性

また業界研究において、知識として知っておいて欲しいことは、時代の流れとしてM&Aなどによる業界再編の可能性があるということです。
金融業界では、都市銀行の再編が繰り返され、3つのメガバンク(三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ)が誕生しました。通信業界でも、3大グループ(NTTグループ、KDDIグループ、ソフトバンクグループ)による大型再編が活発になっています。鉄鋼業界においても、大型再編が繰り返された結果、2大グループ(JFEグループ、新日鉄グループ)に集約されました。
ここで挙げた例は、ほんの一例です。どの業界・企業においても、「再編」が起こる可能性はあります。企業の存続のため、さらなる成長のための手法として事業統合、合併、事業提携は、当たり前の時代であり、今後も活発化していくでしょう。
もちろん、就職活動の段階で、再編を予測するのは不可能です。今の世の中が、どういう時代なのかを知り、業界研究や将来社会人として働く時に役立てて欲しいと思います。

業界情報はどうやって収集するか。
業界の現状や取り巻く環境、今後の動向について調べたいときは、下記の資料が参考になります。インターネットで閲覧できるものや本屋で販売しているもの、図書館にあるものなど、どれも簡単に入手できるものばかりですので、積極的に活用しましょう。

・ 業界団体のホームページや出版物
 (例)金融業界:全国銀行協会(全銀協) http://www.zenginkyo.or.jp/
  通信業界:電気通信事業者協会(TCA) http://www.tca.or.jp/
  旅行業界:日本旅行業協会(JATA) http://www.jata-net.or.jp/
・ 各省庁のホームページ
・ シンクタンク等が出版する「業界地図」
・ 就職活動用の業界解説本
・ 経済雑誌
 (例)週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、日経ビジネス  等々

企業や私たちを取り巻く環境は、刻々と変化しています。環境の変化は、企業にも大きな影響を与えます。その中で、企業が生き残っていくためには、再編は付き物だと言えます。再編により、今までとは違った分野で新規事業が始まることも、今まで行っていた事業から撤退することも十分あり得ます。ですから、業界を調べるときには、その業界に属する企業の事業内容も照らし合わせて見ておくこともポイントです。

業界の現在置かれている環境については、出版物やインターネットを活用して幅広く情報を収集し、研究しましょう。業界再編などにより、業界勢力図はどのように変化したのか、最新の情報をしっかり抑えておきましょう。
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